北京大学医学部ブログ

第3話 授業の雰囲気

学生ブログ
大家好!北京大学医学部進学コース14期生の悠です。


△前回「第2話 クラスの雰囲気」
http://www.isi-ryugaku.com/shingaku/medical/blog/14177

▽次回「第4話  揺れる世界の医学教育」
http://www.isi-ryugaku.com/shingaku/medical/blog/14182


1.はじめに
「明白了,谢谢!」
ISIでの授業がスタートしてから1か月半が過ぎ,日常生活でも積極的に中国語が出てくる学生が見られるようになりました。
はじめの台詞は,中国語で「わかりました,ありがとう!」という意味です。

僕も僕で日常生活を過ごすなかで,中国語が出てくる機会が増えてきました。
たとえば,ISIの帰り道。
何気なく看板を見ながら友達と歩いていると「田中医院」という文字が目に映りました。
同時,頭で流れた音声は「Tian Zhong Yi Yuan (ティエンジョンイーユエン)」だったのです。
「あっ」と思いました。
いままでの僕であれば「Ta Na Ka I IN (タナカイイン)」と何気なく通り過ごしたでしょう。
しかし,身近なものも中国語で読めると知ってからは,帰り道がまた違う景色に見えてきました。

中国語に限らず,見慣れた帰り道で新しさを発見できるよう,これから様々な知識を吸収していきたいと思います。


2.授業について
それでは,なぜ僕がこういう体験をできたのでしょうか。
「中国語を始めて1か月です」
と中華圏の方に伝えると,とても驚かれます。
こうした結果の細かい要因を挙げればたくさんありますが,一番は,ISIでの授業です。
1か月とはいえ,その中身は濃密なものでした。
第二言語として日本の大学で習う範囲はすでに越えているようです。
HSK4級を取得している人もちらほら見られてきました。

「一体どんな授業がなされているのか」

僕はISIに入る前に非常に疑問に思っていました。
今回はその中身をご紹介していきたいと思います。

大まかに言って,ISIの授業は7種類
综合,听力,口语,机动,物理,化学,数学です。

基本的にプロジェクター(パワーポイント,ワードなど)とホワイトボードを使って授業が進みます。


①综合(週7)
中国語の総合力の定着を図ります。
具体的には,発音と文法,単語を中心とした授業が展開されていきます。

ところで,ISIでの授業は基本的に中国語で行われます。
日本語はその補佐です。
一定のレベルの中国語力を身につけなければ,他の授業も理解できません。
したがって,この「綜合(的な中国語力)」の習得率が,他の科目の習得率に,実質的に依存しているとぼくは考えています。

とても重要な科目です。

とはいえ,ほとんどの生徒がゼロからのスタートなので,気負う必要はありません。
最初の2週間で,中国語の「いろは」である四声とピンイン(発音の基礎)を丁寧に教わります。

「焦らなくて大丈夫」

発音がうまくいかず狼狽するクラスに,口癖のように,こう先生が言ってくれました。
一見どこにでも聞くような言葉ですが,いま思えばこれが心の支えになっていたように思えます。


△授業のようす




△教科書(上:文法,下:単語)


②听力(週2)
リスニングの授業です。
授業中に扱う問題で必要な単語,文法,構文などをざっと頭に入れてから,問題を解きます。
音がひとつカギとなってくる中国語ですから,最初の授業ではみんな苦戦していました。
しかし,回数を追うごとに耳が慣れ,各々,コツを掴んできているようです。


③口语(週2)
スピーキングの授業です。
とにかく声に出します。


△教科書(会話文)

教科書に例文としてたくさんの会話文が載っているのですが,それらを全て空で言えるようにします。
北京へ渡った際に,教科書を持って歩くわけにもいきませんからできて当然と言えば当然なのですが,やはり大変です。
ただ,やみくもに発音していたフレーズが日常生活でぽろっと出てきたりするのは,効果がある証拠なのかもしれません。


④机动(週3)
机动とは機動のことです。
つまり機動的な授業という意味で,必要なことを必要なタイミングで何でもやります。
とくにシラバスなどが組まれているわけでもないようです。
中国文化について学んだり,病院見学に行ったり,検定試験の勉強をしたり,その内容は日によって異なります。


△中国文化について説明する中国人の職員さん


⑤物理(週1)
高校物理を中国語に変換する授業です。


△教科書

ネイティブの学生と同じ教科書を使っているため,問題文を読むのも一苦労です。
しかし,用語が日本語と似ていること,また物理は数式が多いことから,何となく解けてしまうのも事実。
大学の医用物理ではそうはいかないと自分を言い聞かせ,地道に単語を覚えています。


⑥化学(週1)
⑤と同様に,高校化学を中国語に変換する授業です。
たとえば,
Alは日本語で「アルミニウム」と表現されますが,
中国語では「铝(ルゥ)」となります。
こういった細かいところまで新しい言葉が出てくるため,物理と比べて,化学は覚える単語量が格段に多いです。
日本の教科書と違う点などもあり,「なんで」,「なんだこれは」と思うことも多々ありますが,毎度毎度,掘り下げてもキリがないため,いまは「そういうものだ」と割り切って変換作業をコツコツ熟して行きたいと思います。
余談ですが「化学」の「化ける」という字が日本語とすこし異なります。


△ 授業のようす


△ 教科書


⑦数学
こちらの授業はすこし特殊で,後期(9月)からのスタートとなります。
まだ授業は始まっていません。
従って,ここではその存在のみをお知らせするに留めたいと思います。
職員の方々や,先生方からの情報であればありますが,
このブログのポリシーである「わたしが経験した情報を発信する」を尊守すべく,
後期までお待ちいただければ幸いです。


△教科書



3.おわりに
今回の記事は,少し私事を交えながら締めていこうと思います。

先日,池袋駅西口から徒歩2分ほど歩いたところにある「聚福楼(ジュフクロウ)」という中華料理店に友人ら4人で行ってきました。

☆聚福楼
http://tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13147894/
※掲載許可をいただきました。



△ 友だちとうさぎ

中国には「四足は机と椅子以外なんでも食べる」という有名なフレーズがあるそうですが,
今回ぼくたちは,みな初めてうさぎの肉を食べました。

一度,生きたうさぎを頭で想像してしまうと,口に運ぶまでを躊躇してしまいます。

味は,とくに臭みもなく,鶏肉と似て淡白で美味しかったです。


△中国人の店員さんと記念撮影

中央の女性が店員さんです。
ぼくたちは,この店員さんとなんとか中国語でコミュニケーションを取れないだろうか,という話になり,授業中に習った中国語を駆使して,話しかけました。

「请问,给我四杯水」

お冷を4杯ください。初めはこんな簡単な言葉で呼び止めては,簡単なフレーズで会話をしたりしました。

徐々に慣れてくると,

「你喜欢谁?」

この中で誰がタイプですか。なんていうことも聞いたりしました。

ちなみに,答えは,写真右の友人でした。
理由は,髪型がタケノコみたいで可愛いからだそうです。

最後に,お世話になった店員さんに中国語で挨拶をしようという話になりました。
「服务员,买单」
「我最喜欢这家店」


店員さんは,ニコニコしながら
「ありがとう,あなたたちの言っている単語がちゃんと全部わかりました」
と言ってくれました。

この日,最後に言ったセリフは,きっとこの先も忘れないのだろうな,と思います。

もっともっと中国語が上達して,それからまたお店に行きたいです。

次回の内容は未定です。
どんな情報が不足しているか,去年の自分を思い出しながら考えていこうと思います。
今回も最後までお読みいただき,ありがとうございました。それでは,再见。