留学センターブログ

日本の英語教育の現状から考える「留学の素晴らしさ」

海外文化・留学Tips
現在、ISI国際学院 留学センターでは中高生のための英語プレゼンテーションコンテスト「Change Maker Awards」にて学習支援プログラムを提供しています。

コンテスト主催の一般社団法人英語四技能・探求学習推進協会が、去る10月2日(土)からコロナ禍における英語4技能・探究学習に関わる様々な実践例をウェビナーで紹介しています。

第1回目は、吉田研作先生(上智大学特別招聘教授 言語教育研究センター長、小学校英語指導者認定協議会(J-SHINE)会長)による講演。

テーマは、"英語4技能"の未来-学校現場の変動を見据えて-でした。

お話いただいた内容は、以下の通りです。

◆英語4技能の意義とこれから
新学習指導要領と中等教育の英語に求められるもの

◆コロナ禍における授業実践
海外研修などがなくなっており、どのように英語学習のモチベーションを高めるか?どのように授業実践を行うか?

◆Change Maker Awardsの意義
内容重視、言葉はツールーまずは目的や目標を持つこと。
それがつかめれば、どんな英語を使えれば良いのか、どんな練習をすれば良いのか、自ずと分かってくるー

今回は、吉田研作先生のウェビナーを聞いて私が感じた「留学の素晴らしさ」についてお伝えしたいと思います。



日本の学生の現状


まずは、世界(特にアジア)における日本人の英語力の低さについてお話しされていました。

イメージはできていたものの、改めてIELTSのスコア表 AcademicとGeneral(順位)を見ると、歴然。






そして、日本の中高生徒たちの意識の低さ、自信のなさも次の表から、わかります。



また、中学生・高校生に「あなたが大人になったとき、①社会ではどれくらい英語を使う必要がある世の中になると思いますか。また②あなた自信はどれくらい英語を使っていると思いますか。」という問いに対して回答を表にまとめたものになります。




英語教育の現状

上記な調査に基づき、英語教育の現状について吉田先生は語ってくださいました。


●英語教育が変われない要因

グローバル人材の育成は、上すべての教育・産業・行政、あらゆる分野の共通の目標となっています。

英語によるコミュニケーション能力、「使える」英語の修得は不可欠な要素ですから、そのための教育改革が、かなり以前から行われてきました。

実際、文科省の学習指導要領の内容は、4技能全ての能力を重視するようになっています。

ところが調べてみると、高校入試問題などにもほとんど変化は見られず、中高生の勉強の仕方からして旧態依然なのです。



OECDの「生徒の学習到達度調査(PISA)」では、日本は各教科で上位を争っている中、IELTSのスコアを見ると英語だけは下から3番目というありさま。

なぜでしょう。

大学入試の英語の出題形式が変わらないことを強調していました。

確かに大きな要因です。それに対する「解答」のひとつとして、大学は、「読む・書く・聞く・話す」の4技能を測れ、入試にも活用できる画期的なテスト「TEAP」を開発しました。

(先生ご自身も、そのプロジェクトに中心的に関わっておられるようです)

もう一つの要因として、中学・高校の英語教員の意識が変わらないことを挙げられました。





●「英語はネイティブのように」の誤解

現在、小学5・6年生は、「外国語活動」が必修となっています。

これが、2020年度施行の新学習指導要領では、小学3・4年生で「外国語活動」、小学5・6年生で教科として「外国語(英語)」を学ぶことになります。

教科ではない「外国語活動」を通じて英語に接することで、知識のみで理解を深めるのではなく、体験的に理解を深め、言葉の大切さや豊かさに「気づかせる」という考えに基づいた活動です。

この「気づく」ということが、学習にとって大変重要です。



気づきのないところで知識を得たところで、子供たちはなんのために学んでいるか分からず、すぐ忘れてしまったり、おもしろくないと感じてしまったりします。

小学3・4年生で気づきを得たうえで、中学以降の英語学習に向けた助走となる小学5・6年生の教科としての英語が始まることになります。

2020年度以降は学校教育で求められる英語力が大きく変わりますが、知識偏重ではない英語教育のあり方が浸透していくことを期待しています。





●新学習指導要領の基本的な考え方



「外国語で表現し伝え合うため,外国語やその背景にある文化を,社会や世界,他者との関わりに着目して捉え,コミュニケーションを行う目的や場面,状況等に応じて,情報を整理しながら考えなどを形成し,再構築すること」



●内容の重要性  CLILについて



CLILは「Content and Language Integrated Learning」の略称で、日本では「内容言語統合型学習」とも呼ばれています。

発祥の地である欧州では、すでに10年以上前から広く定着しており、日本でもここ数年でカリキュラムに取り入れる学校が増え始めています。

CLILの特徴は目標言語(主に英語)を用いて別の教科や社会的テーマなどを学ぶ点にあり、学習内容の理解に重きを置いています。

つまり、be動詞や一般動詞などを学ぶことが目的なのではなく、数学や歴史、環境問題やアイデンティティーについて学ぶための「道具」として英語が位置付けられます。



また、学習者の思考力や学習スキル、コミュニケーション能力、協同学習、異文化理解を重視した構成である点も特徴です。

CLILを実践する上では、これらの要素を有機的に統合することが求められます。

では、なぜこのような教育法が生まれたのでしょうか。



CLILの原理を理解するには、欧州が置かれた状況を理解する必要があります。

多民族・多文化・多言語社会である欧州では、多種多様なバックグラウンドを持つ人々が交流しながら生活しています。

それだけに言語が担う役割は大きく、欧州評議会(Council of Europe)は1995年、母語に加え2カ国語の習得を提唱しました。

これをベースに、異文化を受け入れる価値観や問題解決力、協調・協働といった汎用能力を育む要素を盛り込んだのがCLILなのです。

単なる言語指導にとどまらず、国境や文化の壁を超えて生きる「世界市民」の育成を目指しているところがCLILの真骨頂。



新学習指導要領で「持続可能な社会の創り手」の育成を掲げるわが国においても、CLILを通して学べることは多いと思うと提言されました。



留学という経験が自信をくれる

まず、日本の学生の「自信のなさ」「意識の低さ」についての発表には、残念という気持ちでいっぱいです。

学校教育に携わる先生方、試行錯誤で今後の日本の将来を担う若者たちの英語教育に取り組んでいかれるであろうことに、私たちも期待をしたいと思います。

いままで、私たち留学カウンセラーも、過去に何人もの中高生を海外に送り出しました。



帰国後のフィードバックを多くいただきますが、留学を経験された生徒さんたちに共通して言えること・・・・

それは、皆さん、目をきらきらさせながら、自分の言葉で、自信たっぷりに、留学での体験を語ってくれること。

・留学前は英語に興味がなかったのですが、将来、英語をつかう仕事に就きたい。

・日本で習っている英語はなんだったんだろう・・・海外のいろいろな留学生たちと学ぶ生きた英語は短期でも為になる!

・永遠の親友に出会えた。海外でもうひとつの「家族」ができた!

・物怖じしないで、とにかく飛び込むことが大事!

・今回、短期留学だったけれど、今度は高校留学したい。

・意外と、自分の英語が通じた!嬉しかった!

・海外の授業で体験したこと。例えば、それぞれの国の事情を発表するときがあった。日本人である私たちは改めて幸せなんだな、と思うこともあった!

 世界中の人の価値観を知ることができた!




どのフィードバックも、上記の先生のお話にあったような内容とは、真逆のかけ離れているものでした。

先生のお話を聞きながら、まじまじと「あぁ、改めて、留学は素晴らしいものなんだなぁ。私たちって、とってもいい仕事をしているんだな」と改めて感じました。

留学体験レポートのページでも、体験談がまとまっておりますので、ぜひご参考になさってください。



留学で生活まで変わる?!

それから、ここからは「おまけ」です。

そしてそれを、まさに「変化」として感じているのは、彼らと一緒に生活をしている親御さんたち。

留学を経験させた親御さんたちが口をそろえて言われること。

(これまた面白いのですが・・・)

・声が大きく、明るくなった!
・気遣いができるようになった!(よく家事を手伝ってくれる!)
・朝、一人で起きられるようになった!

彼らの生活習慣にはまで、変化があるのですね~!





まとめ

今回は、吉田研作先生のウェビナーで日本の英語教育の現状を聞いて私が感じた「留学の素晴らしさ」についてお伝えしました。

今年は「コロナ」で渡航型の留学が難しい年となりましたが、弊社では、機会がありましたら、「留学体験者(留学の先輩)によるセミナー」なども今後、行っていきたいと考えております。

改めて、早く海外へ若者たちが安心して飛び出せる世界がくることを切に願っております!



ちなみに、英語4技能 × 探究学習「CMAウェビナーリレー」にISIグループのISIグローバル教育センター センター長の楠田が登壇いたします。



2020 / 11 / 7(土)14:00-15:00
デジタル時代のミライを探究!参加学生が“変異と進化”を体感した学習事例を共有

ぜひご覧ください~!詳細はこちら





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