日本の医師国家試験に合格!第110回医師国家試験合格者インタビュー

医師国家試験合格者インタビュー
高校時代は沖縄尚学高等学校で3年間野球部に在籍。
北京大学医学部をストレートで卒業、中国医師国家試験に一発合格。
第110回医師国家試験にも合格し、いよいよ医師として活躍する竹井さんにお話をうかがいました。

医師国家試験合格おめでとうございます!

ありがとうございます。
何としてでも、医師になりたいという強い思いで頑張りました。大学1年生、2年生の時に「こんな所で落ちてたまるか!」という気持ちは、文化の違いに順応できずに途中でリタイアしてしまった人達よりも強かったと思います。更に病院実習が始まったことにより勉強のスイッチが入りました。私が患者の立場になった時に、「もし担当してくれる医師が、いい加減な人だと不安になってしまう。」と思い、医師になるからにはしっかり勉強しようと心に決め、実践した結果だと思います。

中国ではどんな大学生活を送っていましたか?

竹井暖
生活は一言で言えば自由です。何をしてもよし。しかし、進級するのも落第するのも自己責任。自分から積極的に行動しない限りは何も始まらないということを実感しました。
渡航当初は、中国人に中国語で話しかけるという事が怖かったので、日本人か他国の留学生と一緒にいました。間違えて話した中国語も理解しあえることもあり、今思えば安心感を優先した消極的な生活をしていたと思います。
北京に渡航して1カ月もたたないうちに体調不良になり、診察のために行った病院の医務室でたまたま知り合った人達と野球チームを作ろうという話で盛り上がりました。そして実際に留学生仲間を集めて北京でも野球をしていました。野球は中国でメジャーなスポーツでないにもかかわらず、中国人も興味津々。そんなこんなで友達関係が一気に広がり、中国語能力も伸び生活にも弾みがついたと思います。

将来日本で医師として働くうえで、北京大学医学部卒業生の需要はあると感じますか?

メディカルツーリズムをはじめ、「語学のできる日本人医師」の需要はあると思います。
ただ、語学は結局ツールでしかありません。日本人が日本語を話している事と一緒の感覚なので、「語学を活かして」というところでは特別意識はしていないです。
私が医師になりたい理由の一つとして、「ありがとう」と患者さんに言っていただける充実感が得られることです。たとえ病気が完治しなかったとしても、先生と出会えてよかったと言われた時が最大の喜びだと思います。どうしたらそれを作り出せるような医師になれるのか?語学ができれば外国人の患者さんを診ることができます。国籍に関わらず、多くの患者さんと関わっていきたい。医師としての充実感はそこからはじめると思っています。これからも中国語と英語以外にも、手話、スペイン語も勉強し、コミュニケーションツールを増やしていきたいと思っています。

高校時代はどのような生活を送られていましたか?

沖縄尚学高校では高校3年間野球部に在籍していました。毎年甲子園出場を目標とし、プロ野球選手を輩出するほどの強豪校で、高校1年の夏と高校3年の春・夏合計3度甲子園に出場しました。とにかく3年間ずっと野球ばかりして過ごしていました。

医師になりたいという思いはいつ芽生えましたか?

竹井暖
医学部を第一志望にしようと思ったのは高校2年から3年になる時だったと思います。
母親が病気で緊急手術を宣告された時、一刻も早く実家に戻りたかったのですが、野球部の監督に、「母親が手術なので実家に戻りたい」ということを怖くて言い出せずにいました。
実家に戻った時には、すでに母親の手術は無事に終了していましたが、「命は一つしかないのに、その命を見落としてしまうのはもったいない」と強く実感しました。また医師である父親の後ろ姿を見てかっこよさに憧れていたため、医師になりたいと思いました。

北京大学医学部の道を選び、良かったと思いますか?

全く後悔はなく、むしろ私はこの道を選んで本当に良かったと心から言えます。加えて、人生はスムーズに進んでいる様に見えてスムーズでない、何が起こるか分からない、面白い世の中だと医学部留学を通して経験してきました。もし日本に残っていたら、こんなに面白い人生を歩んでいない、と言えるほど濃い留学生活を過ごせました。

北京大学医学部を目指す皆さんへ

あまり深く考え込まない方がよいと思います。
10年後どの様な人生を歩んでいるかは誰にも分かりませんし、もし、中国で諦めてしまったとしても、それは失敗ではなく、ただ道が変わっただけです。私も「日本の医学部に入学して、日本の医師になる」という事が目標ではなく「医師になる」という事が目標でしたので、それが達成できるのであればどの道を選んでも良いと思っています。かたくなに国内大学医学部でないといけない!という選択は非常にもったいないです。
また学力的についていけるかなどと不安を感じて、一歩踏み出すことに怖じけついてしまう事ももったいないと思います。北京大学に入学した時、学力は低いと思っていた私でも卒業できました!「学力」より「やる気」の方が重要です。
北京大学医学部に留学したからには、「絶対医師になる!」という目標がしっかり定まっている事が大事だと思います。また、この道に挑戦する上で考え過ぎて結局やらないよりも、後悔しないようにまずはチャレンジした方が良いと思います。万が一途中でダメになってもそれは失敗ではなく、そこからまたその次の道を模索すればよいと私は考えています。