北京大学医学部ブログ

中医学(東洋医学)体験授業を行いました。

医学部ブログ
2016年9月24日に、ISI北京事務所の医学部サポートの一環として、北京大学在学中の学生を対象に、中医学(東洋医学) 体験講座を開催しました。

まずは、劉璐先生が留学生に向けて“中医学と健康”について講演してくださいました。西洋医学を学んでいる学生に対して中医学(東洋医学)の講演をしていただくので、中医学の中でも最も基本であり、かつ最も奥が深い「陰と陽」から説明をしていただきました。当初はどの程度理解できるか心配していましたが、始まってすぐに、学生が積極的に中国語で劉璐先生の質問に答えていました!劉璐先生は学生に「刮痧(カッサ)」※1の原理や、手法のポイントを説明し、臨床の実践として、首、肩に違和感がある学生に刮痧の治療を行いました。その光景を見ていた学生達は皆やりたくてうずうずしている様子でした。

 

次にツボの探し方、針の刺し方を解説いただいた後で、希望した学生は医師の指導の下、針実践を自分の腕と足に行いました。体験した学生たちはほとんど痛みがなく、術後軽くなった感じがすると驚いていました。その後「拔罐(カッピング療法)」※2について勉強をしましたが、火を使うということもあり、多くの学生は躊躇していました。拔罐(カッピング療法)は、まず火を恐れてはいけないそうで、火は壺口を過熱するものではないので、患者の皮膚を火傷させないためにも、素早く行わなければいけないそうです。この治療を行うには、度胸と細心の注意が必要とのことでした。

  

次に、甜菊叶(ステビア)、生甘草(カンゾウ)、金银花(キンギンカ)等,生薬の原料となる草本植物,動物類の漢方薬について学びました。薬剤師の先生がこれらの原料を漢方薬として使用するために、どのように焼き、どのように煮るかを説明すると、学生達は漢方の神秘的な効用について感嘆の声をあげていました。

 

この日訪れた東文中医診療所では、日本人医学部生達を熱烈に歓迎してくださり、中医学についてユーモアを交えながらわかりやすく解説いただき、気軽に質問にも答えてくださったため、学生にとって非常に有意義な講座となりました。さらに慢性的な不調がある人は治療も受けられたので、喜んでいました。今回の講座は、針などの実践もあったため、これから医師になる学生たちにとって初めての貴重な治療経験となりました。これから医師になっていく自分について、またどんな医師になっていくのかについて、考える良いきっかけになったようです。

【感想】
・初めて中医の病院を見学させていただき、鍼灸や中医の薬など、ふだんなかなか見られないものを見られて、とてもよかったです。今後、中医学について、学びたいと興味が出ました。

・抜罐、針、刮沙、お灸など、中医のさまざまな治療法を体験(実践と受診)ができて、すごくいい機会になりました。また先生方も明るく気軽に接してくれて、とても楽しく学べました。自分もきちんと習得したいと思いました。

・今回、個室で実践治療をしていただいて、効能もわかり、本当によかったです。もし次回もこのような機会があれば参加して、医師になったときに活用していければいいなと思います。今回は本当にありがとうございました。

※1刮痧(カッサ):玉や水牛の角(つの)で作ったヘラを使い、経絡(けいらく)に沿って皮膚をこすることで、血流の流れを整え、老廃物を排出する中国の伝統自然治癒療法のひとつ。
※2 拔罐(カッピング療法):ガラス製の丸い器の中の気圧の変化を利用し、患部にたまった老廃物や毒素を吸いだす療法。日本では吸い玉、吸いふくべなどと呼ばれている。血行を促進して肩こりや冷え性などを改善するといわれる。悪い部分ほど吸われた部分が濃い色のうっ血となる。
参考:上海人SHANGHAI-ZINE・伝統の中国式マッサージ(http://shanghai-zine.com/topics/254)

執筆:ISIスタッフ 遠藤