北京大学医学部ブログ

医療ツーリズムの増加に伴う医学+中国語人材の需要

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昨今、医療ツーリズムが非常に人気です。日本の高い信頼性と丁寧・親切な医療サービスを求める外国人観光客が増えており、特に中国人の富裕層が大きな割合を占めています。健康診断から臓器移植、がんや心臓病の治療、整形外科等の先進医療など目的は様々で、中国人患者はもちろん日本の健康保険に加入していませんので、保険外の診療を受けることに全く抵抗がありません。国内では医療費抑制傾向が続く中で、こうした保険外収入は病院の大きな収益となっているのです。

2011年1月より外務省が医療滞在ビザの運用を開始し、政府が医療ツーリズム体制を強化する中で、外国人患者の受け入れに積極的な病院も増加し、旅行代理店のツアー内容も充実しています。

例えば、ある旅行社のツアープランだと、東京から箱根、京都・大阪を周遊する豪華旅行で、銀座でのショッピングや箱根での温泉を堪能、京都で世界遺産を観光してから、PET(陽電子放出型撮影法)検診を受け、帰国するというもの。高級ホテルに宿泊し、検診費用も50万円と、1人当たりのツアー費は数百万円にもなるそうですが、日本の環境・医療サービス等を気に入り、数年後またツアーを利用し、来日する人も少なくないそうです。経済産業省によると、医療渡航者(2012年)の48%が中国人、次いで韓国(12%)、ロシア(10%)、アメリカ(9%)と、中国人が約半数を占めています。



医療ツーリズムの来日者数はものすごい勢いで増加しており、病院にとっても欠かせない収益源となってきている一方で、言葉や文化の壁から積極的に外国人患者を受け入れられない病院があることも事実です。また、現政府は日本の医療技術・サービスの海外展開(アウトバウンド)も推進しているので、医学+語学力を兼ね備えた人材の需要は日に日に高まっていると言えるのではないでしょうか?


執筆:ISIスタッフ 遠藤