北京大学医学部ブログ

第10話 さよなら、日本!

学生ブログ


今日は、2017年2月17日、金曜日。

明後日、北京に渡航します。

明後日、日本を去ります。



今回のブログは、北京大学医学部の受験に対して、直接、有益となる情報はありません。

渡航2日前の、僕自身の素直な心境について、この一年を振り返りながら語っていきたいと思います。例えば、僕は北京大学をやめようと考えていました。

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△前回 北京大学医学部 留学準備編 「第9話 僕が感じたイチからの中国語」

▽次回 北京大学医学部 予科編 「第1話」 準備中
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1.いま、思うこと

あっという間でした。

「この一年はあっという間に過ぎる」

頭ではそんな風に分かっていても、いざこうして過ぎてみると、実に「あっという間だったなあ」とこぼさずにはいられません。

もっと日本でやりたかったこともたくさんあります。

本。まだ読み切っていない日本語の本がたくさんあります。これから目に入る回数が激減するであろう日本語なのにです。日本で中国語を探すのは簡単です。しかし、中国において日本語を探すのは、まるで無くしものを探すかのような気持ちになりそうです。電子書籍などの形で、読みたいと思います。

人。日本でしか会えない人。自分と同じ立場ならば、全国61校の医学生とお話しする機会、場合によっては一緒に旅行に行く機会もありました。そのうえで、もっとその人たちと一緒にいたかったなと、少し惜しい気持ちがあります。もちろんそれは医学生の方々のみならず、これまでの人生において線と線が重なり合った方、皆さんに言えます。特に家族には、多く常日頃から自分は守られ、助けられているという意識があります。どうにか奨学金を取り、卒業を果たし、医師になるという決意が強まります。

とはいえ、やはり、いまは「やり切った!」という気持ちが全面にあることも事実です。

特に語学。ISIに来て自分の能力が進歩するにつれ、周囲の環境が変わっていきました。
ニーハオ、シエシエしか言えなかった中国語においては資格を取得し、ドン・キホーテで困っている中国人の方のお手伝いもできました。
英語もTOEFL対策をしつつ医学書を無理なく読める程度には進み、私生活でも20か国の方々と交友を持つようになりました。
日本語は、プレゼンやISIでの説明会、パンフレット、そしてこのブログなど、より実践的にアウトプットする機会が増えました。

すべてISIと出会ってから、出会ったからこその出来事で、達成感とともに、狐につままれたような、そんな不思議な気持ちになります。縁の大切さも実感しました。

最終的には、まさにご縁があり、入学前に自分の関心の強い医療政策、公衆衛生分野におけるインターンを始めることも叶いました。これはISIの授業中に電話にてお話をいただき、決まりました。



全くと言っていいほど、医療界におけるつながりがなかった僕にとってこの一年間は、自分が立つ世界を大きくする、若しくは、世界が大きかったことを実感ための期間だったのだと思います。

しかし、デジタルに点だけを取れば、右肩上がりに見えるこの一年も、アナログに線を引くと、僕自身の心境は上下、左右に大きくうねっていたのでした。


2.本当に北京大学でいいの?

以前ブログでもお話ししたかもしれません。
僕は、ずっと迷っていました。この道でいいのか、正しいのか。辞めるならいまだと思うこともありました。

HSK、中国語の検定試験で思うようなスコアが取れなかったときも、自分に中国語は向いていないのかなあ、と考えたりしてみては、アメリカのPre-Med Courseや、カナダ、フランス、イギリス、イタリア、台湾、韓国、アフリカいろいろな国の医学校の募集要項を見て回りました。中にはくじ引きで入試を行うことを検討している医学校もあるようです。余談ですが、WFME(世界医学教育連盟)の入学者選別基準に学力試験がないことがよくわかります。

それでも、ぼくがやめることはありませんでした。それは、愚直さを身につけたかったからです。「うまくいかないことなんてあったって当たり前、それを打開する力がなければ、医師となっても世に貢献はできないだろう」、そう考えました。継続は力なりの実現をめざしました。

中でも、僕と北京大学をつなぎとめてくれた大きな存在が、このブログです。中途半端にやめるわけにはいかない。自分にとって良いプレッシャーであったと思います。

これまで飽き性だった僕が継続を実践するには、自分を抑えるプレッシャーも必要なのだなと、ようやく身をもって学びました。

おそらくこれからISIに入られる方も、コースの勉強のみであればそう難し話ではないと思います。しかし、日本にいられる最後の一年。それだけに終わっていいのか、と僕はISIのレールに抗うに抗いました。色々なことを並行して行うことで、不意にのしかかる重圧に耐える訓練ができたように思います。

そんなこんなで、最初はあんなにも遠かった北京も・・・





いつのまにかこんなに近くなっていました。


3.おわりに

昨年の初夏、他の外国の医学部を卒業された先生とこんなお話をしました。

自分 「実家を、日本を6年間も離れる日の前夜って、どんな気持ちになるのですか?」
先生 「そうだねえ。・・・それはその時になって自分で確かめるといいよ」

いまならわかる気がします。

さて、これにて北京大学医学部 留学準備編のブログは終了です。
次回から、まだタイトルは決まっていませんが、留学後についてのブログの内容は移っていきます。

僕もまだどんなことを書けるのか、わかりません。とてもワクワクしています。
これからも、自分の五感で感じたことを北京から自分の言葉で発信していくので、これからもぜひ、よろしくお願いいたします!

それでは、このブログをご覧の皆さん、そして日本、ありがとうございました!



おわり    予科編につづく