ISIグループ代表対談

社長対談

中国・アジア16カ国に31拠点を展開し、現地に進出する日系企業に対して、会計・税務、人事労務、経営などの幅広いサービスを提供しているマイツグループ。多くの日系企業の海外進出をサポートされてきたご経験から、留学を成功に導くためのアドバイスと、グローバル社会で求められる人材について伺いました。

留学生が陥りやすい失敗とは?


留学して、いろいろな国から来たクラスメートと交流するのが楽しいと思える人と、自分は語学を学びに来たのだからと視野を狭くして、閉じこもってしまう人とは、大きく差がついてしまうでしょうね。他の国の人といっしょに遊んだり、友達の国を理解しようと勉強する、これはものすごいパワーだと思うんですね。中国へ留学した私の次男は今でも韓国やアフリカの友達と連絡を取り合っています。そういう出会いを与えられるのが留学。だから中国語や中国の文化を学ぶのも大切ですが、その周りにある環境をもっと利用してほしい。日本人はすぐ文法を気にして上手にしゃべろうとする。でも言葉は相手に伝わればいいのだから、
開き直って思いっきりしゃべる
度量を持ってほしいですね。


失敗というか、挫折しそうになることは留学生なら誰でも経験があると思うんです。親元を離れてすべてが自己責任になり、今までの環境が大きく変わってしまうわけですから。留学生の多くが渡航して1カ月くらい経つとホームシックにかかったり、開放的になりすぎて学校に行かなくなったりします。しかし、
苦労や挫折も成長のひとつ
の過程と前向きに考えて、逃げずに真正面から向き合うことが大切だと思います。だから、留学の失敗とはそうした苦労や挫折から逃げ出してしまうことといえるかもしれません。一歩踏み出すのは勇気のいることですが、恐れずに何にでも挑戦してもらいたいと思いますね。

留学を成功させる秘訣とは?


言葉が話せるようになるというのは留学の第二義的なミッションであって、言葉を使って
自分は何をしたいかという明確な目的
を留学中に持った人の方がより高い語学力やグローバルな視点を身につけられるんじゃないかと思います。TOEIC何点取りましたとか、英検何級を持っています、とかいうけれども、これはどこまで行っても手段の問題であって、それを使って貿易の仕事をしたいのか、会計をしたいのか、専門的なスキルを磨きたいのか、とにかくやりたいことを何か見つけてほしいと思います。


今の高校生は留学するときに将来何になりたいとか考えていないことが多いです。留学中にいろいろなことを経験して初めて、「こういう風になりたい」という気持ちが芽生えていくんですね。だから留学中はできるだけいろいろなことに
好奇心を持って挑戦してほしい。
勉強だけでなく、サークルやインターンシップなど、いろいろな活動を経験している学生の方が、人間としての面白みがあって、就職活動を見ても成功しています。


英検何級、HSK何級というのは、日本で就職活動をするときに、書類選考で落とされないための道具という程度に考えておいたほうがいいです。目的意識をしっかり持っている人は訴えるものが全然ちがいます。そういう人はどこの会社でも入れるし、会社に入ってからも伸びると思います。


海外と日本の学生とのちがいは?



弊社の上海の事務所は90%以上が中国人です。教育システムの差だとは思うのですが、中国の学校を出た学生の方がプレゼンテーション能力は圧倒的に高いです。これは日本の教育制度が見習うべきところだと思います。一方で、協調性に優れていて、相手の気持ちに立ったプレゼンテーションができるのは日本人です。
今回の東京オリンピックのプレゼンテーションが良かったというのは、前回の落選の経験を生かして、オリンピック委員会が何を求めているのかをよく調べた上でのプレゼンだったからだと思うんですね。日本人はプレゼンテーション能力をもっと高めるべきですが、同時に相手方の気持ちを理解する能力をもっと引き出して欲しいと思います。


日本は口に出さないのが美徳、察するとか、空気を読むことが求められる世界。でも、海外では自分の意見を伝えることが求められます。留学したての頃、クラスで一番静かにしているのはだいたい日本人です。しかし、最終的には何事にも臆せず自己主張できるようになっていきます。留学を通して異文化に揉まれることで、相手の事情を理解する力=異文化理解力、自分の意見を伝える力=プレゼンテーション能力が自然と身についていくんです。


求められるグローバル人材とは?


3カ国語は必要という時代はすぐにでも来ると思います。でも、いくら言葉がしゃべれても相手が受け入れてくれる、相手方を受け入れる気持ちがなければ、コミュニケーションはできません。あくまでも
言葉は武器。それよりも人間性を磨く
ことだと思います。専門性を身につけるのは当然なのですが、それ以前に積極性や創造性、感謝の気持ちといった人間性の豊かさが大切だと思います。
もう一つは個性です。最近僕が日本と中国を行き来して感じるのは、日本企業は”失われた20年“の間にコンプライアンスを守るためのガバナンス作りばかりやってきました。その結果、ダメダメ志向が強くなって、型にはまった人材ばかりが作られてきた。
安倍政権に代わって日本経済は成長モデルに転換しようとしていますが、その変化に企業側がついていけるのか疑問です。今は70点、80点取るような平均人間、レーダーチャートで表すと中くらいの五角形になる人材が多いのではないでしょうか。でも成長期には、
自分のここだけは誰にも負けない
というような強みを持った人材が必要です。一つのものに秀でていたら、ほかの部分も最終的にはその高さまで伸びていけると思うんです。学生時代はいびつな五角形でも、社会人になってから飛び出したところまでの大きな五角形になっていけばいい。これからのグローバル人材とは、個性があって、かつ人間性豊かな人。今後日本が成長していくためには、そうした人材を大きく伸ばす教育制度も必要だと思います。

池田 博義氏プロフィール
1948年生まれ。1971年同志社大学経済学部卒業。
1975年公認会計士資格取得と同時に池田公認会計士事務所、税理士池田博義事務所を開設。
1987年株式会社マイツを設立。1994年株式会社マイツ上海代表処開設、首席代表に就任。
1999年上海邁伊茲咨詢有限公司設立、董事長就任。
社名のマイツは「Make You Truly Successful(お客様を成功に導く)」の頭文字から。