ISIグループ代表対談

社長対談

ISIの新たな医学部留学プログラムが、2013年春本格的にスタートしました。日本で中国語や基礎科目を学ぶ準備課程を設置するなど、医学部留学を成功に導くサポートが充実しました。今回は提携大学の一つである首都医科大学の董院長をお招きし、日中の医療現場の現状や医療人材のグローバル化についてお話を伺います。

日中両国が直面する「高齢化」という課題


ISIグループは、「医療」を一つの大きな事業の柱として、医学部留学や外国人看護師・介護士、医療通訳の養成に力を注いでいます。
董先生は、過去に北京大学医学部で、現在は首都医科大学の国際学院院長として、医学部留学生の指導・育成に携わって来られましたが、中国からご覧になって日本の医療現場やそれらを取り巻く環境をどのようにお感じになられますか?


日本は先進国であり、医療水準も高いと思います。しかし超高齢化という問題があり、国民の医療負担はかなり重いです。医療費の大半を高齢者が消費するという人口高齢化の問題をどう解決するか。これは日本にとって大きな課題です。
一方、中国はまだ発展途中ですが、中国の医療需要は先進国並みに拡大しています。なぜなら、中国も高齢化社会に転換しつつあるからです。
高齢者の医療費を誰が負担するのか。中国も高齢化社会に対応した適切な医療制度を考えなければなりません。
中国も日本と同じ難題に直面しているわけです。日中両国はこの問題を解決に向けて、共同で努力すべきだと思います。



国境を越えて進行する医療人材の流動化



検診や治療を目的に中国から日本の病院を訪れる人が増えていると聞きます。富裕層を中心に健康管理への意識が高まっているようですね。


中国での健康診断は、質の問題以外にも、予約が取れない、プライバシーが守れないなどの問題があるため、中国の一部の富裕層は日本で高質な検診を受けるようになりました。逆に日本から中国での治療を求めて来中される方もいると聞きます。


医療と旅行を結びつけた「医療ツーリズム」は成長市場として非常に注目されています。


医療サービスのグロ―バル化を示す好例だと思いますね。
WTO(世界貿易機関)が「サービス業は国境のない業態」と定義していますが、医療の分野においては技術も人材も、すでに国境を越えています。


医師・看護師といった医療人材の流動化も進んでいますね。


現場では優秀な人材の流失という問題も発生しているようです。しかし、グローバル化の流れを止めることはできません。むしろこの流れを促進することが医療業界全体の発展につながると考えています。


グローバル化に対応できる医療人材を育成する上で、障害になっていることはありますか?


一番の大きな問題は、国家間の教育制度の違いです。国ごとに独自の規定があり、統一するのはかなり難しい作業になります。しかし、これだけグローバル化が進展する中にあっては、主要各国で協議し、基準を定めることが遅かれ早かれ必要になってくるでしょう。


留学生が日本と中国をつなぐ



首都医科大学は他校に先駆けて留学生の募集に注力されているそうですね。


中国と日本は隣人で、しかも良い隣人でなければならないと思います。ケンカばかりしていては両国に発展はありません。留学生の交流は日中両国の友好関係を築く上で一番効果的な方法です。今後も留学生の受け入れを積極的に行いたいと思います。


日本人が中国で医学を学ぶ意義とは何でしょうか?


大きく三つあると思います。
第一に中国トップレベルの大学で学べる点です。将来中国の医療現場を担うエリート学生たちのための国内最高の教育環境が用意されています。
第二に、西洋医学と東洋医学(中医学)を学ぶことができる点です。留学生の多くは、自国での医師免許を取得するために西洋医学を学びますが、中国では中国伝統医学である中医学に触れる機会もたくさんあります。
第三に、中国語を習得できる点です。中国語を話せることで将来の活躍の場が大きく広がります。


海外を目指す中国人看護師


首都医科大学では、海外就職を目指す中国人看護師のためのコースを設置して、中国人看護師を積極的に海外に送り出していらっしゃいますね。


中国の看護師は学習能力、技術能力、サービス意識など十分な実力を備えています。日本人に対して親しみを感じさせる顔を持ち、文化・生活習慣も似ています。言葉は異なりますが、越えられない壁ではありません。この事業はまだ始まったばかりですが、日本の看護師不足に何らかの貢献ができれば、と思っています。

一方で、欧州諸国に比べ、中国では看護師の地位が低いのも事実です。それは文化的な問題でもあり、解決しなければならない問題でもあります。衛生水準の向上や社会の発展に伴って、看護師に対する各方面(学歴、素質、能力)への要求は高まっています。
教養があり、人間性にもすぐれた優秀な人材が必要とされています。中国でも、日本でも、能力のある人がもっとこの分野に集まるように、より良い労働環境や条件を提供する必要があると思います。そういう意味で、看護師海外就職コースは、看護師にとっても、看護師を受け入れる側にとってもメリットの大きいプログラムだと思います。


理想の教育環境で一流の医師を育成



首都医科大学は1960年に設立された若い大学ですが、発展著しく、中国医学部ランキングのトップ10に数年連続ランクインしています。豊富な臨床資源と恵まれた実習環境、加えて教育の質も非常に高い。それだけにここで学ぼうとする学生は覚悟が必要です。実力がなければ、首医での学業は続けられません。私たちは患者さんに対して責任があります。
一流の学生、一流の医者を育てる義務があります。世界各国から医師を目指す学生を歓迎します。より良い学習環境を提供し、彼らの夢を実現したいと思っています。

董 哲(とう・てつ)院長 プロフィール
1975年 厦門大学外語系英文専攻卒業。1986年 英国イースト・アングリア大学現代言語学系にて応用言語学修士号を取得。1994年 米国ジョージア州立大学教育学院にて教育学博士号を取得。帰国後、北京医科大学外語部副教授、北京大学医学部応用言語学系教授、北京大学医学部国際合作処処長等を歴任。2007年より現職。